氷の街に足を踏み入れたとき

いよいよ仕事始めとなりました。止まった時間が動き出す、詩的な表現ではそのようにも言えるかもしれません。 しかし子供の時、とある正月。

わたしは確かに街の時間が止まっていたことを感じたことがあります。 子供の時、家では2匹の犬を飼っていました。犬のお散歩は正月だろうがなんだろうが、365日休みなしです。

加えて正月ということもあり、興奮していて早起きしてしまい、その日は朝4時に妹と一緒に正月の街へ犬たちの手綱をとり、歩きはじめました。

……ですが少しして、正月の早朝、街はいつもとまったく違う様子を見せていることに気がついたのです。 なお実家ですが、東北の日本海側にあります。

まあ正月の当たり前な景色として、その日も雪で街は包まれ、白く染まっていました。でも正月の4時、まあ時間帯のせいと言われるとそうなのかもしれませんが、人間だけでなく、生き物がわたしたちと犬のほかなにも動いているものがいなかったのです。

くわえてそのとき、ちょうど雪雲の切れ間から太陽の光が射し込んではきたけれど、その光が雪を冷たく真っ白に輝かせたことで、それこそおとぎ話の氷の街にいるような感覚をもたらしてきました。

ですがセンチメンタルさなんてかけらもなく、人の居ない街というものに言い知れない恐怖を感じてしまったのです。 妹も同様な感覚があったようで、散歩コースははしょり、とにかく早く家に帰りたい、その一心で犬と一緒に猛然とダッシュしていました。

あのときほど家族に会ったことでほっとしたときはありません。 街が街として機能するには、当たり前ですが『人』というものが不可欠なのだな、と身に染みて思った一件です。

仕事始めは街が街として正式に動き出す時間ともいえます。この時を迎えるといつもあの時の感覚を思い出してしまうのです。

願わくば今年も穏やかな街を作り出せますように。わたしのきまりレビュー

wp_sv_5267_62338 登録者